「催眠療法」ⅩⅤ

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 ただ単に人前で緊張する、あがる、赤面するという悩みの場合でさえも、人によって様々なトラウマが背後に存在します。このトラウマを意識の世界で正しく把握し、取り除かなければ、自己催眠の暗示だけではその場しのぎどころか、たいした効果は望めません。
いや、もっとはっきり言うと、全く効果が出せません。なぜならその人をそうさせている原因を無視、または無意識の中に置き去りにしては、人は向上することはできないのです。
 人前であがるということにおいても、何度も何度も今度こそと周到な準備をして望んではみるものの、かえって結果が悪いと悩まれている方がいかに多いことか。本来ならば、場数を踏んで慣れていくことで、うまくなっていくものなのに、そうできない力がどこで働いているのかを見極めることです。
 もう一度言います。人前での緊張やあがりで悩んでいる人で、自己催眠の暗示を試みたが、うまくいかないという人は、その人をそうさせているトラウマによる力が働いています。その場合は暗示だけでは改善できません。また、トラウマ以外の問題点もあります。
それは、過去に、あがってうまくいかなかった経験があると、そのときのことが頭に浮かんできて、そのイメージを打ち消すように。「あがらない、あがらない……」と呪文のように唱えている人を多く見受けます。しかし、そういうことは自己暗示として役に立たないばかりか、逆に状況を悪くしていきます。なぜなら、言葉で唱える暗示よりも、その人がイメージしている内容(過去に失敗している自分の姿を想像し、今度こそはあんな状態になりたくないと思い浮かべている自己イメージ)が優先して、その人を緊張させて失敗させているのです。緊張し、あがったときの自己イメージが頭から離れない限り改善はされません。
 本来自己催眠の目的とは何かを考えたとき、自分の無意識(潜在意識と同じ意昧)に自分で働きかけることで、自分の目的・願望を実現させることにあると考えます。したがって、目的や願望を叶えるためには、白分の無意識に暗示を送り込むことができるように、自分で自分を催眠(トランス)状態に導かなければなりません。そのテクニックは重要です。自分をトランス状態に導くための時間が長くかかっては大変です。自分をトランス状態に導くために、仮に一回三十分かかったとすれば、一日に何回も暗示を無意識に送り込む場合、かなりの時間を失ってしまいます。ですから、いかに早くトランス状態を作り出すかが決め手になります。
 私は、白己催眠を習いに来る人に対し、数秒でトランス状態に導き、自分の無意識の中に働きかけることができるように指導しています。場合によれば、数秒どころか、トランス状態をわざわざ作り出すことなく、無意識に暗示を送り込むことができるように指導し、願望を実現させるテクニックも教えています。
 さらに自己催眠の習得において、自分の心の深層(無意識)との対話ができるようになることも価値あることです。
 人生における課題や苦難を乗り越えなければいけないときは、あなたが真に自己を信じきったときに、あなたの無意識は、必ずあなたを導き枚ってくれます。必ずそうなるのです。あなたはそう信じる力を早く得ることです。

◆目 次◆

まえがき

第1章 催眠療法について
催眠療法とは
催眠療法のあり方について
心を治すとは
トラウマ(心の傷)とは
治療者側に努力と向上
退行催眠療法とは
どのようにして症状が消えるか

第2章 症状の実際と治療理念
寂しくて一人でいられない
親の愛情を受けていない
親を殺したくなる
子供時代の環境(不安神経症)
共依存症
パニック障害
強迫性障害(強迫神経症)
症状が進行する背景
■強迫神経症の場合
■おならで悩んでいる場合
人と交流ができない
自分に自信が持てない
赤面
身体醜形(恐怖)障害
劣等感
対人緊張・あがり
対人恐怖・視線恐怖
多汗症
幼児虐待
■親からの虐待
■世代間伝達
性的不能
性的虐待
前世療法について

付 録 
自己催眠と他者催眠
自己催眠を学び活用することの価値
他者催眠術に対する誤解
他者催眠術の習得

あとがき